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第2回クオリアAGORA_2013/ワールドカフェ



 


 

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ワールドカフェ

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ワールドカフェ


今ワールドカフェでは、農業とともにこれからの産業として注目を集める医療の将来、そしてマイナンバー制度に医療を導入することをどう考えるかについて、話し合いました。 今回も分野を超えた活発な話し合いがもたれました。 


≪ワールドカフェとは?≫


[ 各テーブルのまとめ ]



●第1テーブル 報告者  

上田 源 (同志社大学経済学部3回生)



最初に浅野先生が口火を切られたのですが、国民皆保険を必ず守るべきだ。 この日本の素晴らしい制度を守っていかなければならない。 ということで、これを守るためにはどうすればいいかという話を中心に話し合いました。 


あまりはっきりとは答えがでなかったんですが、私、若いんで、若者の意見からいいなと思ったことをひとついいますと、今、老人の方が若者よりはるかに金を持っている、と。 しかし医療費は、そんな老人の方が安いのはなぜか。 それは、選挙に行く率の問題で、政治家はたくさん投票してくれる老人のために政策をする。 だから、若者は投票所に行って、でも、誰にも投票をせず、白紙票に文句をボロクソ書いて帰ってくればいい。 これをやれば国はちょっとは変わるんじゃないか。 


この考えはとてもいいので、私もネットでやれないかなと思った次第です。 それから、患者の意識に問題があるということなんですが、、風邪程度で大学病院など大病院に来るということがあるんですね。 これは、まず、広く浅く経験のある町医者のところに行き、それで治らないとしたら、次に専門性の高い大学病院などに行くという形を、もっときちんと作っていくべきだとする意見が出ました。 





●第2テーブル 報告者  粟野 亮二 (グローバル・マーケティング・アソシエーション代表)


私たち医療産業を考えるにあたって、予防ということを話し合いました。 アンジェリーナ・ジョリーが行った先制攻撃、という形で、病気のもとになるものを倒してしまったほうがいいじゃないかということで、遺伝子を調べ、先制攻撃するべきだという話が出ました。 しかし、これはとてもリスクがありまして、例えばアルツハイマー認知症が前もってわかってしまった場合、「病気を持っている」ということを理由に結婚や就職の時、断られたりすることが考えられわけで、とても危険な情報になる。 これは、保険会社にとっても、ビジネスにつながる重要な情報にもなるわけなんですが、この重要な情報のセキュリティーを守るビジネスも大きな事業になるのではないかという意見がありました。 


ただ、そういう新しいものが、日本の風土の中で受け入れられるんだろうかという話も出て、これに関連して、山口先生からお話があったんですが、「新規探索遺伝子」というものがあるそうなんです。 アメリカ人は、この新規探索傾向の強い遺伝子を持った人が50%いて、日本人はそういう遺伝子を持った人は数%に過ぎないということでした。 つまり、日本人はチャレンジ精神が少なく、これに加え、日本人の人生観がとてもパッシブでアメリカ人とこのことでも違い、「先を知る」ということに対してネガティブになる可能性が高いんじゃないか。 だから、日本で先制攻撃型の治療自体が成立するのは難しそうなんですが、それを進めるなら、まず、情報を守る-さっきいいました遺伝子情報などプロテクトする-体制を作ることがまず大事で、それでセキュリティービジネスが重要となり、そこにビジネスチャンスがあるのではないかということで議論を続けました。 






●第3テーブル 報告者  西田 光生(東洋紡化成品開発研究所)


マイナンバーについては、基本的には、なんで反対するのはよくわからない。 思想的にこだわりのある人が反対するんじゃないの、というのが結論でした。 ただ、薬だけのデータだけでなく、食のデータもとったらどうかという提案もあって、それはコンビニなんかでのカードデータで入ってくるから、合わせてやるほうがいいだろうなどの意見が出ました。 マイナーバーをやることのデメリットなんですが、医療情報が完全にオープンになる、ズルしたことが全部わかってしまうようなことになるので、すんなり受け入れられるのかな、というクエスチョンは残りましたが、結局、基本的には賛成ということになりました。 


それで、これにほとんど議論は費やされたのですが、医療の未来ということです。 図では医者側と患者側にわけさせていただきましたが、患者側としては「元気に食べる人は病気にならない」「やりたいことやると元気でいられる」など、健康に対する考えについてこういう答えがあり、薬より生き方が人を健康にするんだという考えの人が多かったんです。 逆に、サプリメントを飲むと早死するというデータも出てきて、患者としては、薬も大事だが食べるものも非常に大事で、漢方もそうですが、「薬食同源」ということを、未来には気づき、患者が賢くなっていく。 そういう賢くなった患者を、では、医者はどう助けるのか。 医学生は今、厳しい医者にはなりたがらない。 研究者やビジネス目指すなどで散らばってしまう。 医者はこれからも必要なのに、ドンドン減っていくだろう。 由々しき問題だが、じゃあ、この状況でどうするかということですが、実際に具体的に患者をサポートする看護師、栄養士、薬剤師との協調のなかでチームとして治療していくことになるのではないか。 これが、医療の未来の結論ということになりました。 



●第4テーブル 報告者  山本 勝晴 (浄土宗西山深草派 僧侶)


医療産業の未来で議論しました。 マイナーバーには概ね肯定的で、番号がつくことで、二度三度もレントゲンを撮るとかの無駄がなくなっていいのではないか、というのが大半の意見。 賛成でいいのかな、と。 ただ、その情報、データが漏れるとか、セキュリティー面で問題が起きることを懸念する意見も多く、これをちゃんとするというのが前提条件かなと。 もう一方で、マイナンバー制も含め、自分たちの医療情報が全て一元管理され、医療保険に使われ高くなっちゃうのではないか。 例えば、生活習慣病など、自分でコントロールできうることで高くなるならまだしも、遺伝子なんかで決められてしまったら困るという意見が多々ありました。 


それから、医療と医療系の産業という二つのキーワードで話していたのですが、そもそも、医療とそれに基づく産業というのは、非常に難しい。 命に関わることで、儲けるという視点と人の命を助けるという視点を混同して議論することは、立場の違いがあり過ぎる。 その中で、中心的な話題は、アングロサクソン系の方々は、良きも悪きも資本主義経済を取り入れますので、医療系のビジネスを産業化することをうまく成し遂げられるでしょうが、日本のような皆保険制度ではデメリットがある。 一方、日本人は、遺伝子解析なんてことは、そもそもしないんじゃないか、ということでした。 これ、高田先生がおっしゃったんですが、自分の遺伝子解析をして、将来、どんな病気になるのか、その確率を知ったところで、逆に、心配して病気になるだけではないか、と。 日本人はそんな国民性ではなく、知らないまま死んでいきたいと思うのではないか。 むしろ、そのほうが寿命も伸びるんじゃないかというような意見がたくさん出ました。


あと、創薬産業の問題ですが、米国がうまくやって、日本はダメというのではなく、国のせいだけではない。 皆保険制度、保険行政の仕組みの中で、これまで製薬企業は、国内の市場だけでうまくやってこられたので、競争原理も働かず、これが農業と同じで、力を失った大きな理由なんだろうと話し合いました。 






クオリアAGORA事務局


どうもありがとうございました。 では、これから、スピーカーの二人に感想をうかがいますが、その前に、浅野さんの奥さんの光子さんが見えていますので、ちょっとお話を聞いてみたいと思います。 妻にとって夫はいい患者であったのかどうか、いかがでしょう。 


浅野 光子さん


大変な病気だったんですけれど、本人は、意外とめげなかったような気がします。


私のほうがむしろ、ATLを発病する前に、この病気がどんなに難しく、発病すればほとんど死んでしまう。 そして骨髄移植しか方法がないということを、前もってネットで調べて知っていたものですから、発病した時は、ほんとにもう、本人以上にガーンときました。 それで、骨髄移植ができると聞いたので、一条の光を見たような気がしたんですけれども、骨髄移植というのは、命を落とすような治療だということもうすうす分かっていたので、それを選択するのか、そんな危ないものを選択しないで、どうせダメなら、その時も元気でしたので、少しでも元気で長く生きてる方を選択するのか、どっちを選ぶのかなあと内心思ったのですが、本人は迷わず移植する方を選んだので、ああ、この人はこっちの方を選択するんだなと思いました。 


さっきのお話の中でもありましたが、「支えてくれ」といわれておりましたし、余命11カ月ということも聞いていたので、とにかく悔いのないようにやりたいなと思っていました。 本人は、至って前向きで、泣き言もいわないで、大変模範的というとおかしいですが、闘病したと思います。 それと、意外と抗がん剤にしても、ケロッとしていて、すごく苦しいんだろうと感じる時もあったんですが…。 とにかく、とても楽天的だったんじゃないかと思います。 


浅野 史郎 (神奈川大学特別招聘教授 元宮城県知事)


何だかわからないけど、長谷川さんから来てくれといわれ、はいはいときたんですね。 で、こんな会とは思わなかった。 面白いですね。 なんで、この会にみなさん来るんだろうと思いましたが、これただじゃないんでしょう。 でも、素晴らしい会だと感じ、なるほどと思いました。 いつも、自分でも思うんですが、異業種の方からいろんな意見を聞いたり、異業種の方にお話することは、自分にとってもいい経験で、きょうもずいぶん勉強をさせてもらいました。 


川上 浩司 (京都大学大学院医学研究科・薬剤疫学教授)


価値観が違う人たちが集まり、こうやってワイワイガヤガヤ議論するというのは、2カ月に1回ぐらいあっていいと思います。 きょうは、それをおおって余りあるほど、濃厚な時間が過ごせたと思います。 あと、マイナンバーに関連し、医療データの件はよく議論していただき、ありがとうございます。 確かにプロテクトは極めて重要で、われわれもそこを気を付けて進めなければと思っています。 ありがとうございました。 

 



 


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