第七期 第1回京都クオリア塾 令和3年6月12日
「ポストコロナ~世界的視座で日本を再考する」
6月12日(土)10時~16時30分
今年もコロナの影響で6月からのスタートなった京都クオリア塾、第1回はオンラインとのハイブリッド開催となりました。リベラルアーツを学ぶとともに京都企業の幹部及び幹部候補生間の交流を深めるという趣旨から、リアルにこだわりながらも状況によって対応していきたいと考えています。
第7期は19名の参加、自己紹介に続き研修と抹茶の体験です。
◆ 第1部 「大変革の時代~世界の中での日本を考える」
中西 寛(京都大学大学院法学研究科教授)
新型コロナによるパンデミックで大きく変わる世界の構図、国際政治学者の中西教授は、日本ではリベラルアーツ、即ち教養の水準が低く日本の国力の欠陥となっている。受験制度など社会の仕組みに責任はあるが、国際関係についても学んでほしい、こう口火を切りました。
第2次大戦後の国際秩序の変遷を整理しながら、世界の警察官ではないアメリカと自己主張外交を進める中国との対立、国際秩序が漂流する中で直面したパンデミックで、国家間の分断・対立は一層加速し、西洋優位から中ロ、イスラム、インド、アフリカなどを含む多文明世界へ、そして脱炭素、消費経済から循環型社会への転換などが加速する。新秩序構築のための競争がより顕著となる、と語られます。
では世界の中で日本は新たな可能性をどう導きだしていくのか。これまでの西洋追従か反西洋かの二元論ではなく大西洋中心から東アジア中心へと舵を切ることが重要。その鍵は世界の文明をこだわりなく吸収し成長してきた日本文化の特性をいかすことで、翻訳が難しが「神は細部に宿る」の精神を分かってもらうことだ、と語りかけました。
スピーチの後、塾生からは東京オリンピックや日韓問題、対中国との関係、自国第1主義などの質問や意見が相次ぎ、これに対して中西教授は記憶や感情を乗り越えて前に進むのが歴史であり、前向きで共有した時に何が得られるかだ。日本はまだデフォルトポジションにある。文明の転換期には政府の後押しが必要だが、日本政府には戦略的意思決定が脆弱、などと述べ、従来の価値観からの転換の今こそフラットな視座が大切であり、もっとリベラルアーツに触れて欲しいと結びました。
◆ 第2部 抹茶体験