第四期 第8回京都クオリア塾 / 平成31年1月19日
第8回は、文化心理学の研究者で、心の働きが文化や社会の成り立ちにどの様に関連しているかを実証研究されている内田准教授を迎えました。グローバル化とともに、労働の流動性が高まり、成果主義の導入などが図られる一方で、企業の社是などの共有化が進められている今、「独立性」と「協調性」の観点から従業員の意識や幸福感を紐解いていかれます。 「独立性」は、多様な価値や公平で公正な競争、自分で考える力を、「協調性」は周囲の調和を重視したり、人とのつながり、共感を表すもので農耕民族・日本の文化といえます。
グローバル化に伴って散見されるメンタルヘルスの問題などを例に、組織のインフラともいえる協調性が機能しないと独立性を発揮するためのインセンティブが働かない、職場の仲間との関係性などが求められる協調性が、自己実現を果たすための判断にポジティブに機能するのだそうです。
また内田准教授は、ストレスを受けると著しく活性が変化するCTRA(conserved transcriptional response to adversity)という遺伝子群の解析を行うことで、自分の会社・職場を誇りに思う協調性と独立性が深く関係していることが明らかとなった、と語りかけます。
一見面倒でも人と協調することでポジティブなフィードバックが生まれ、日本型企業の働き甲斐や幸福感に繋がるとして、顔を合わせて話しあい一緒に取り組むことがITの時代こそ重要では、と指摘しました。
この後ランチを挟んだ塾生との意見交換では、「独立性」の強みを育成するためには「協調性」を普遍化し、これが日本の得意技である調整能力を活かすチーム力を高めることになる、などの意見が相次ぎました。