第五期 第7回京都クオリア塾 / 令和元年12月21日
東アジア哲学、朝鮮思想史研究の小倉京大教授、「日本文明はこのまま沈んでいくのか、それとも再生するのか、すでに崖っぷちまで来ている。これを救うには日本思想を使わなければならない。」と語りかけ、それはこれまで人間や社会を一面的にしか捉えてこなかった結果によるとの考えを示しました。 そして、自我、生命、こころ、ものなどは、①個別 ②普遍 ③あいだ、という三つの様態に分けられ、第3のカテゴリーの「あいだ」をどう構築するかがカギと話されます。即ち①の個別と②の普遍とは異なる「あいだ」の概念は、日本人が最も得意とするところであり、西洋が主導した近代文明が大転換をしようとしている今、その知恵が生かされなければならない。 小倉教授は、この三つのカテゴリーで農業文明や宗教、経済活動などについて例をあげながら、近代が成し遂げた普遍化のプロセスを示し、その先の様々な主体が押し合いへし合いしている相対的な場所が「あいだ」であり、そこに力が働くと価値が生まれる、との考えを示されました。 日本の思想や哲学を先人から学ぶとともに、東アジアをどう構築するか、そのリード役を日本が果たすことができるかなど、塾生の皆さんにとって難しい哲学の話も緊張感をもって聞いた2時間でした。 この後のワールドカフェでは、中国や韓国・北朝鮮との関係などを学びながら「東アジア」が安定する基盤は何かについて意見交換をしました。