第六期 第1回京都クオリア塾 第1部 令和2年6月20日
世界を一変させたCovid19で今後の国際情勢はどう変わるのか、塾生にとっても大きな関心事と言えます。中西教授は1980年代以降の新自由主義路線、リーマンショックや地政学競争、ポピュリズムの台頭と社会的分断、それにイギリスBREXITや米中派遣戦争などこれまでの国際秩序の分解が進んで、グローバリゼーションの持続がすでに不能となった時にパンデミックが起きた、と語ります。
そして、コロナ回復のための金融財政政策はもはや後戻りできない一線を越え、検疫防疫などで国境の意義が再確認された今、国際秩序の分解をこのコロナが後押しすることになる。経済のV字回復は望めずもうこれまでの秩序に戻ることはない。そして米中間の相互依存がどの程度のブレーキになるかはあるが、米中対立と保護主義が進み経済のブロック化が一層顕著となる。その一方で環境問題などのガバナンス協力が求められ、世界共通の課題なのになぜ協調できないのか、と問われる。難しい岐路の選択だ。
では日本の立ち位置は、日本の強みはどこにあるかだが、今回のコロナ対応で世界から不思議がられた日本の対応と結果から、ひとつの解を導き出せないか、と問いかけます。昭和の時代の生活習慣や新自由主義に対する日本的な距離感、デジタルオンリーではないアナログ型社会の維持など、少子高齢化などの日本社会の変化は底流にあるが、日本社会の基本構造は揺らいでおらず、平成日本は「ゆでガエルと奇跡の国」といえるのではないかと語りました。そして2021東京五輪については、1984ロス五輪モデルの開催はあり得ず、実現可能であればソーシャルディスタンスの徹底やオンラインの活用などの新発想が必要と結びました。
塾生からは、コロナはグローバリゼーションが変わるきっかけとなる、リアルとバーチャルが融合することで都市集積が変わる、世界市場に向けて日本企業の文化をどう伝えるか、日本の存在価値を明確にする日本モデルの再構築が必要といった意見や提案が出されました。