第七期 第8回京都クオリア塾 令和4年1月15日
國府 寛司(京都大学大学院理学研究科長・教授)
1月15日(土)
第8回は数学の研究者で京大理学研究科長の國分教授、 高校を卒業以来初めて数学に触れたという塾生も混じる中、まず古代のピラミッドや天体観測・暦から近代の微積分の創始、そして宇宙探査や気象予測、遺伝子制御など今に至るまでの数学の歴史を紐解かれました。発見の正しさを支えるものは論理しかない、些細な誤りでも全体を崩壊させかねず数学的な事実はいつでも正しい、として様々な分野で適応できる数学のニーズが今、より高まっていると話されました。
日本における科学・技術の衰退が心配される中、國府教授はJSTの「さきがけ数学協働領域」が取り組む数学によるブレークスルーの事例などを紹介。その上で生命現象の予測や制御、汎用性AI、SDGsなどの多様な分野で数学が支えていく、と語ります。更に京大の理学研究科は数学、物理学、地球科学、化学、生物学の5ジャンルがある日本でも珍しい存在であり、これらの融合をはかりながら産官学の連携により、皆さんと社会貢献を進めていければと結びました。
科学・技術の大転換は全て基礎学問から生まれていると指摘される國府教授、イノベーションの創出に不可欠な数学がこれほどまでに多様な分野で活用されているのか、を気づかされた研修となりました。