第八期 第10回京都クオリア塾 令和5年3月11日
第8期の最終回、堀場会長はご自身の歩みを振り返りながらフィロソフィーの大切さを塾生に語りかけます。まずカリフォルニア大学大学院工学研究科を終了してアメリカに設立の合弁会社に出向した1977年当時、日本から空輸された分析計が機能しません。本社と連絡をとりますが「そのようなことはない」という回答ばかり、最終的にその理由は日米の湿度の違いと空輸で空気が抜けたためと判明するのですが、本社からの情報はあくまでも発信側の情報で、自分で情報を得ることの大切さを経験した、と話します。自ら情報を取りに行くことで、フロントラインの感性と現状を把握することを学んだのは入社して直ぐ、今も決断の際の最重要ファクターとなっています。
堀場製作所は従業員の6割が海外、日本人は4割というグローバル企業、本社からの指導は限界と、従業員をホリバリアンと呼び「おもしろおかしく」、海外では「Joy and Fun」という社是で、フィロソフィーを共有化している。堀場会長は、コーポレートカルチャー(企業文化)が会社を成長させる原点であり「ほんまもん」であれば、赤字であっても中長期的投資を継続させる。主力製品であるマスプロメーターは世界シェア6割を占めているが世界一高い、これもアメリカのベンチャー企業を買収して10年間投資し続けた結果生まれたもの、と語ります。
更に堀場会長、失敗から学ぶひらめきがチャレンジを生むのだが、日本はこのひらめきを育てる教育をしていない。アメリカでは具現化のためには例え給料が少なくてもチャレンジするのだが、知識だけを詰め込む日本の教育ではひらめきのある「人財」を育てられない。また判断の際のつきもチャレンジと感性が導く、と語り、日本の教育の転換を求められました。そして数字を掲げたターゲット目標としての中長期計画は必要だが、教科書通りではなく感性、感覚、視野を広げ、色んな価値観を持って「ほんまもん」を追求していくことで計画も達成できる、と結びました。
塾生とのディスカッションでは、ガンバナンスや中長期的投資、本社と子会社との関係などについて質問が相次ぎ、これからの企業について考える機会を持つことができました。
その後のOBも参加した懇親会では、昨年9月に行われたOBの一泊研修報告も行われ、卒塾生との交流が進みました。業態を越えて集まった京都企業の仲間が、この1年間の研修を終えてどんな活躍をするか、楽しみな懇親会でもありました。