第十期 第2回京都クオリア塾 令和6年6月15日
文化庁の予算はわずか1000億円でそのうちの半額は文化財保護、お金の話をしてはいけないとされる美術史の世界だが、権力者にとって美術とは何かと問いかけます。宮殿を飾る道具であり、権力の象徴、そして資産としての芸術、と価値の基準はたくさんあるが、誰が持っていたかが大きなポイント。オークションの世界もかつては参加者のみしか結果を知りえなかったが,今やオークションが繋がり世界共通の値段となった。ルイ16世とマリー アントワネットが宮殿の一部を開放して始まった美術館は、今やシェアすることにより価値に値段をつける時代となった。
アートを美術と訳したのは森鴎外だが、ネーチャーと対極にあり人が関わるモノ全てをアートということができる。明治6年のウィーン万博からアートを美術と表現し、フィラデルフィア、シカゴ万博などを経て日本は世界の美術教育を取り入れながらカテゴリーをつくってきた。前崎教授は万博と深い関係がある美術だが、来年に迫った大阪・関西万博で日本の価値をどう表現するのか、と結ばれました。
午後からはアート思考やデザイン思考についての質問が続き、日本のブランディングをどうするかなどについて活発な意見交換が行われました。
その後会場を徳正寺に移し、一茶庵摘承の佃梓央さんと文人茶会を愉しみました。大阪で花開いたサロン文化、前崎教授も参加して時間を忘れての交流となりました。