第六期 第4回京都クオリア塾 令和2年10月24日
「最終決めるのは感性、大切なのはオリジナリティ」と京大大学院時代、岡田節人氏が率いる「オカダケン」で時代の先を読む力を鍛えられたという高橋淑子教授、塾生に「発生生物学のイメージは?」と質問を始めます。「カオス」「いのちの起源」「メカニズムの解明」「神秘」などいろんな意見が出る中、「悪い細胞はどういうことか、そもそも正常とは何か、その仕組みを知ることが生命科学研究」と語り、受精卵が細胞分裂・分化を繰り広げるさまを紐解いていかれます。
ニワトリの発生写真を見せながら、受精卵3日目で臓器ができてもうアダルト、これは人間も一緒で、細胞分裂にはドラマがある。そのメカニズムの追究が遺伝病の解明にも繋がり ハンセン病の原因も設計図からのはみ出しもののらい菌だった。原因が解明されたにもかかわらず、戦後も長く続いた差別の歴史をみると、科学者の役割は大きいと改めて考えさせられたという高橋教授、研究者仲間に呼びかけて2017年には国立科学博物館で「発生生物学の誘い」という展覧会を開催しました。
進化の中でなくした人間のしっぽ、毎日の生活で気に留めたこともないのですが、脊椎動物にあるしっぽのSN細胞はひとにも残っていて生殖器や排泄器、後腸をつかさどっているのだそうです。人間の進化の道のりの解明に繋がるそうで、普段意識したことのないしっぽへの関心を高めていただきました。
食事を挟んでの意見交換では、塾生から業務と研究との関係性などの意見も出され、高橋先生、次代を拓くプログラムは分野横断の横ぐしを指すことが重要では、と話されるなど、今求められているイノベーションの基本を学ぶ機会ともなりました。